オステオパシー
(整骨療法)
Find it, Fix it and Leave it Alone.
by Dr. Andrew Taylor Still
アメリカの医師であったDr. Andrew Taylor Stillは、自身の3人の息子たちを病気で亡くしたことをきっかけに当時の医療に対して不満を持つようになり、医学は万能ではなく時には有害にもなりえると考えるようになりました。その後、様々な研究を経て1874年「オステオパシー」と呼ばれる「薬や手術に頼らず、手技による治療を通して、人間が持つ生命力や自然治癒力に仕事をさせる」というホリスティックな医療システムを開発しました。
オステオパシーは、その効果の高さからアメリカ国内で評判となり、1892年ミズーリ州カークスビルにて最初のオステオパシースクールである「アメリカン・スクール・オブ・オステオパシー」が設立されました。その後、1917年イギリスで、Dr. J. M. Littlejohnによって「ブリティッシュ・スクール・オブ・オステオパシー」が設立され、20世紀前半に急速に世界中に広まっていきました。
現在アメリカ、イギリス、ヨーロッパ、オーストラリア、カナダなどの先進国を中心とした世界50カ国以上に約125500人のオステオパスが存在するといわれています。うちアメリカでは約82500人のオステオパスが存在し、M.D.(Doctor of Medicine)いわゆる一般医と共に、D.O.(Doctor of Osteopathic Medicine)として医師認定されています。残念ながら西洋医学以外の代替医療に消極的な日本では一般的にあまり知られていません。
私が学んだオーストラリアではアメリカとは異なり、オステオパスは投薬や手術は行わない代替療法医として国家資格認定されています。オステオパスのライセンスを取得するに大学、大学院などで4〜5年間の専門教育を受けなければならず、生理解剖学、神経学、胎生学、物理運動学、病理学、医療診断などを含めた幅広い知識を必要とされます。また、技術面でも数年間の実技やインターン実習を経て安全で効果が高い技術を習得します。
オーストラリアのオステオパスは一般医と同様に自らが診断することを許されるプライマリー・ヘルスケア・プラクティショナーとして、神経筋骨格系の検査はもちろん、心臓血管系、呼吸器系、神経系、内分泌系などに対しても基本的な検査を行えるようにトレーニングされています。そのため、信頼度の高い評価・診断により必要に応じて一般医や他の代替療法医と連携して迅速な対応を行うことができます。
オステオパシーでは新生児から高齢に至るまで、全年齢が治療対象です。神経筋骨格系の痛み、特に首、背中、腰の症状によりクリニックを訪れる方が多く、それ以外にも頭痛や肩こり、浮腫みなどの症状が比較的多いほか、不妊、更年期障害、妊娠中や産後の症状の改善、さらには、ストレスなどによる自律神経系の不調や鬱、パニック、不眠、トラウマなどといった心理的、精神的な問題においてもオステオパシーを利用される方が後を絶ちません。
オステオパシーは現代医学のように不調のある部分だけを診たり、症状自体にフォーカスする対症療法ではなく、症状の原因を探ることに重きを置きます。痛みの原因は必ずしも痛みがある場所にあるとは限りません。体全体を一つのユニット(単位)として捉え、ホリスティック(全体論的)なアプローチで、患者自身の自然治癒能力に仕事をさせるのがオステオパシーです。オステオパシーによって、本当に体を癒すのはあなた自身だということに気付くはずです。
また、頭蓋仙骨療法(クラニアルオステオパシー)についての私なりの考え方について書いたブログもありますので、ご参考まで。
